失恋ショコラ【短】
「なっ、何でっ……!?」


「図星か」


驚いて持っていた食器を落としそうになったあたしに、片方の口角だけを上げた篠原が得意気な笑みを浮かべる。


「だってお前、昨日は『彼氏と会う』って言ってたのに、こんなもんバッグに入れたままだし」


驚くあたしの視界に入って来たのは、見覚えのあるラッピングボックス。


「そういえば、昨日はバレンタインだったな」


慌てて篠原の元に駆け寄って、それを奪い返そうとしたけど…


「勝手に見ないで下さい!」


彼は椅子から立ち上がってヒラリと躱(カワ)し、あたしを見下ろしながら口元を緩めた。


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