失恋ショコラ【短】
口の端に着いたココアパウダーを親指で拭う篠原から、視線が外せなくなる。


そんなあたしの気持ちを見透かすように、彼がニヤリと笑った。


「お前、セックスが気持ち良くねぇの?」


「そっ……そんなのどうでもイイから、早く退いて下さい!」


「お前って生真面目だし、男の前で乱れるのが嫌で相手の顔色窺ってばっかりだったんじゃねぇの?」


「べ、別にそんなんじゃっ……!って、もう放っといて下さい!」


あたしの上から退く気の無い篠原を睨むと、彼がまた口元を緩めた。


「でもそういう奴に限って、タガが外れたらすっげぇ乱れたりするんだよな」


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