失恋ショコラ【短】
彼の為に作った生チョコは、アルコールに弱いあたしにはラム酒が強過ぎて、頭がクラクラと揺れるような感覚に襲われた。


体を包む感覚が酔っている時のそれと似ているのは、きっとそのせいに違いない。


体の奥底から込み上げて来た行き場の無い熱が、あたしの内(ナカ)に溜まっていく。


熱を持て余しながら肩で息をする、あたし。


それを満足げに笑いながら見下ろす、篠原。


妖艶な笑みはやっぱり美しく、いつも第二ボタンまで開いているシャツから覗く胸元は“男”を思わせる。


そして…


それらに囚われてしまう自分(アタシ)は、何かがおかしい。


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