失恋ショコラ【短】
「バッ、バカにしないで下さい!そんな事くらいっ……!」


言いながら手首に力を入れると、それよりも強い力で押さえ込まれる。


「……それでイイ。お前はそうやって、最後まで抵抗してろ」


まるで愛おしい物を見る時のようにユルリと緩められた瞳に、思わず胸の奥が高鳴ってしまった。


だけど…


「全部俺のせいにしてイイから、とりあえず今は俺に抱かれとけよ」


続けて落とされた声にはほんの少しだけ切なさを孕(ハラ)んでいる気がして、今度は胸の奥がギュッと締め付けられる。


篠原の一つ一つの言動に振り回される胸が、何だかやけに苦しかった。


< 37 / 77 >

この作品をシェア

pagetop