失恋ショコラ【短】
編集長から、『何があっても篠原櫂の機嫌を損ねるな』と言われているから…。


このまま大人しくしていれば、今日こそは原稿を貰えるかもしれないから…。


唇に与えられる篠原からのキスを受け入れながら、頭の中では思い付く限りの言い訳を並べていた。


そんなあたしから唇を離した彼が、不服そうに眉を寄せた。


「……他の事考えるなんて、随分余裕があるんだな?」


言い終わるよりも早く、今度は首筋に埋(ウズ)められた唇。


さっきチョコを擦り付けられた場所を、ペロリと舐められて…


思わず体を強張らせながら、小さな吐息を漏らしてしまった。


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