失恋ショコラ【短】
シャワーを借りて着替えた篠原のシャツは、あたしの体には大きい。


それでも余った裾をスカートの中に入れてからジャケットを羽織ると、一応スーツ姿に見えない事は無かった。


仕方なく編集長に原稿を渡したら意地でも帰る事を決め込んで、重い足取りでリビングに戻ったけど…


「……あれ?」


テーブルの上に置いておいたハズの原稿が、篠原と一緒に消えている。


「もうっ!!」


彼の性格の悪さは、きっと天下一品に違いない。


「本当に最低っ……!」


あたしは吐き捨てるように言いながらバッグを持って、わざとズカズカと歩いて書斎に行った。


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