失恋ショコラ【短】
定時を過ぎたオフィスに戻ると、社員達はまだ慌ただしく働いていた。


締切前後のオフィスは、いつも目まぐるしいのだ。


昨日はネチネチと嫌味を言い続けていた編集長は、この茶封筒の中身を見たらどんな表情をするのだろう…。


シワだらけの目尻を下げて、たちまち上機嫌になるのか…。


それとも戻るのが遅かった事に、やっぱり嫌味の一つくらいは付け加えられるのか…。


出来れば、今日は前者だけであって欲しい。


そう願いながら違和感のある服装を隠す為にバッグを胸元で抱えた後、編集長のデスクの前に立って原稿と茶封筒を差し出した。


「編集長」


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