失恋をした君と私の恋



☆奈々side


「……はぁ…はぁ、」

志賀くんの家を出て
私は走り続けた。

【好きなんだよ。宮田。】

何が起きたか分からない。
振り向いた時には、
志賀くんが悲しそうな顔で
私に微笑んでいた。


どうして?
どうして悲しい顔したの?


無意識で走り続けた結果
学校にたどり着いてしまった
「はぁ…はぁ…、」
体力も限界。
私は学校の近くにある
公園のベンチに座った。

6時過ぎたこの時間の公園は
誰もいなくて、ただ私が
ぽつんと座っている。
カチカチと電柱電気が、
自動的につけられ照らされる


「おい!沙羅っ」

「今日は帰るねっ、」

何分か座っていたら、
聞き慣れた声が聞こえた。

学校に背を向けていた私は
後ろを振り向いた。

「涼太…沙羅?」

何分待っても来なかった。
……涼太は沙羅といたの?
寂しさと不安がこみ上げる。

沙羅は軽く涼太に手をふり
走って帰って行った。

あきらかにぎこちない様子。
ピアノだと言っていたのに。
どうして涼太といるの?
何をしていたの…。

疑問が次々と出る中、
私が見つめていた涼太は、
さすがに視線を感じたのか
私の存在に気づいた。
そして静かに、
私のほうへ歩きだした。


「よっ、」

元気じゃないくせに、
何もなかったかの様に…。
元気に振る舞った涼太

「帰り遅かったんだね。」

「悪かったな先行かせて、」

「んーん。元気そうだったよ」

涼太は「そっか」と言って
私の隣に座った。

静かに時間だけが流れて
耐えきれなくなった私は
「もう帰らなきゃっ」
と嘘をついた。


それに合わせて涼太も
「1人で公園は嫌だな」と笑い
私の後から立ち上がった



家までの道は長かった。
会話もなく沈黙ばかり。
いつもなら、バカ騒ぎで
楽しいはず。


それが私達なはずなのに…。


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