失恋をした君と私の恋
☆涼太side
「送るっつーの」
「大丈夫ーっ」
いつもの別れ道Y路地で
送ると言う俺を断る奈々。
「もう暗いし危ないからさっ
涼太も早く帰りなって♪ね?」
暗いから危ない。
俺のセリフだってのに
奈々は微笑みながら言う。
でも違う。
奈々のこの顔…。
「なんかあった?」
奈々は何かあると、
心配かけないように笑う。
何もないって顔をする。
みんな気づかないけど、
なんか俺には分かる。
「な…なんも無いってー」
そう言った奈々は
「じゃあね」と言ってから
俺に背を向けて走った。
まるで逃げたかのように。
「何があったんだよ…。」
なぜかムシャクシャした。
いつも4人でいて、
奈々ももう俺達には心を
開いてくれている気がしてた
しばらく歩くと、俺の家。
その前には沙羅、涼太の家
「ただいまー」
幼なじみ…か。
奈々は、俺達のそんな関係に
居づらさを感じてんのか?
「おかえりーっ」
扉からひょこっと
顔を出すのは妹の一葉<イツハ>
「ったく、また漫画かよ
少しは勉強しろよなっ」
少女漫画を両手に
「いいのっ!」と一葉は言う。
「ちゃんと進学しろよな。」
俺は一葉の頭をぽんぽんと
してから自分の部屋に入った
「まだ中1だもんねー」
ドアの向こうから一葉は
そう言っていた。
俺は携帯をポッケから取り
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