失恋をした君と私の恋
☆奈々side
「話しって何?」
早朝。夏でも少し肌寒く
まだ誰もいない教室に
私と志賀くんはいた。
「志賀くん…。
私も志賀くんが好きだよ。」
「はっ?」
「何?」
私の突然の言葉に
志賀くんはただ驚いている。
「お前は涼太がっ…」
「そうだったけど、
叶わないから…。
なら、想ってくれてる
志賀くんの気持ちにこたえる」
私はニコっと笑って
志賀くんを見る。
「いや…その。」
「もう私のこと好きじゃない?」
窓に寄りかかる志賀くんに
少し近づいてみる。
「俺は…」
「志賀くん…ごめん嘘っ♪」
「は!?」
志賀くんは私の言葉に
驚いている。
「志賀くんの好きな人は、
沙羅でしょ?」
「なに言って…」
「涼太が沙羅を好きだから
身を引いたんでしょ?」
「んな訳ねーだろ?」
「どうして隠すの?
好きなら好きでいいじゃん!!」
志賀くんは、
怒ったような悲しいような
そんな表情だった。
「ねぇ!志賀くんっ!」
「沙羅…」
「えっ?」
志賀くんの言葉に
私は扉の方へと振り返る。
そこには、
沙羅と涼太がいた。
「沙羅、りょう…きゃっ!!」
涼太と言おうとした時
志賀くんに思いっ切り
腕を引っ張られた。
志賀くんの顔が、
目の前にあった。