失恋をした君と私の恋
☆敬斗side
「はぁ…。」
電気もつけてない教室で
俺はただ座りこむ。
つか、まじで痛ぇ…。
俺は殴られた頬を
おさえながら立ち上がる。
「帰ろ、今日はサボリ」
そう1人で納得してから
机の上にある鞄をとり
廊下に出た。
「ちょっと敬斗!?」
廊下に出た瞬間
俺のほうに駆けてきたのは
沙羅だった。
「は?お前何戻ってきて…っ!?」
俺が話してるにも関わらず
沙羅は俺の頬に、
冷やしたハンカチを当てた。
「ハンカチ冷やしに行ったの」
「来んなっつったのに。」
俺がそう言い沙羅に
背を向けた時…。
「私、敬斗が好きだよ」
静かに沙羅は言った。
そして、
「敬斗が奈々を好きでも、
私ずーっと敬斗が好きだから」
と、続けた。
沙羅は泣いている。
泣かせたのは当然、俺。
「それだけだから…。」
そう言うと沙羅の
走って行く足音が聞こえた。
「沙羅!!」
もう限界だった。
自分の気持ちを押し殺すのは。
沙羅は、俺の声にビクっと
反応しゆっくり振り返った。
「俺も沙羅が好きだから」
「…………え?」
「本当は、ずっと好きだった」
好きだったんだ。
子供のころからずっと…。
沙羅だけが。
「何でよっ!だって、だって」
沙羅はそう言いながら
一歩ずつ俺に近づいて来る
そして、
俺にたどり着いた時
涙いっぱい浮かべた目で
俺を見ながら
「敬斗が奈々が好きって…」
と言って俺に抱きついた。
「悪い。あれ嘘。」
「嘘っ!?」
「あぁ。俺、沙羅は涼太が
好きだと思ってたんだ。
で、涼太は沙羅が好きだったから
俺は身を引こうと思って
てか、この嘘。
宮田は気づいてたぞ?」
まぁ宮田も少し
間違ってたけどな、
「なにそれ~っ!ばかー」
沙羅は涙を流しながらも
微笑んでいた。
「ねぇっ!敬斗」
「あ?」
「窓みてっ!空が綺麗っ」
沙羅は窓を見つめて、
目を輝かせていた。
「沙羅」
「ん?……っ!」
これを幸せって
言うんだろうな…。
俺達は、
綺麗な空の見える窓辺で
キスをした。