失恋をした君と私の恋
☆奈々side
「は!?キスしてねぇの!?」
私を抱きしめながら驚く涼太。
「うんっ。
志賀くん顔近かったけどっ」
あの時、志賀くんは
私に「ありがとな」って言った
初めてみた志賀くんの
幸せそうな顔だった…。
「まじかよ~っ
俺、殴っちゃったよ」
はーっと涼太が
ため息をついた時、
「マジふざけんなっつーの」
「敬斗っ!!」
屋上の入り口から、
志賀くんが濡れたハンカチで
頬を覆いながら来た
「その様子じゃうまくいったのね♪」
志賀くんの後ろから、
ひょこっと沙羅が顔をだす。
沙羅の言葉を聞いて、
私と涼太は、バッと離れる。
「沙羅もっ♪おめでとっ」
「え?……あっ」
私が言うと、沙羅は
パッと志賀くんの手を離した
「………あははっ」
青い空が澄み渡った今日。
一面見渡せる屋上
「敬斗大好きだよっ?」
「おうっ」
「涼太だいすきっ!」
「さんきゅーっ」
私達は大切な人と結ばれた。
決してずっと楽しい恋では無かった
でも、好きだから。
諦めきれなかった。
「奈々っ!俺と結婚しろよ!?」
「うぇっ!?………うん!」
涼太は笑顔だった。
この幸せを離したくない。
頑張ったから、
涼太の側にいることができる。
「沙羅、結婚な。
約束忘れてねぇだろうな?」
「えっ…敬斗、覚えてたの…?」
沙羅は泣いていた。
そんな沙羅を、志賀くんは
抱きしめる。
そんな志賀くんの腕の中で
「私、諦めなくて本当に良かった」
と沙羅は泣いていた。
それぞれの幸せが
今この青い空の下にある
その幸せは、
1人1人が頑張った証。
この恋を叶えたい。
そんな強い気持ちから。
私は今、みんながいて
涼太がいて…。
とても幸せです。
((end))