ぽいど(仮名)
1章
薄青色の無地の天井。
そこに絵の具で描かれた様な、
白い綿が伸び、流れている。
処は私立・扇学園。
幼児科から大学院まで幅広い層の学生を
扱う。
とある区切りごとに行われるテストさえ
パスすれば後は普通のエスカレート式学園だ。
僕は其処に特待生という形で入学した。
特待生と言っても、僕は普通の学力しか
持たない。
とある事情を持つ子供を受け入れる、
という学校の慈善活動に救われただけだ。
“とある事情”が何なのか。
それは後々、その気になったらお話ししよう。
きっと貴方が聞いても面白い事ではないと思うから。
遠くの方でチャイムの音が響く。
きっと中等科からだろう。
中等科の始業のチャイム。
それは、高等科の予鈴の代わりを果たすのだと、
いつか誰かから聞いた。
溜め息を一つつく。
―次の授業は自習じゃないんだっけな……
僕は渋々、屋上を後にした。