あたしとあんた
確かあれは小学2年生のころ。
この頃はお父さんもお母さんもあたしたちが住んでいる神奈川から毎朝通っていた。
けどある日お父さんがあたしとあたしの兄「柚斗(ゆずと)」に告げた。
兄はあたしよりも10歳年上で18歳だった。あの頃は
「お父さんもお母さんも段々毎朝通うのが辛くなってきてな・・・・そろそろ東京に引越してそこから通いたいと思っているんだ」
あたしと顔を見合わせた柚兄が口を開いた。
「俺らはどうすればいいの?俺は大学とかあるしこっちに残りたいんだけど」
お父さんもお母さんも柚兄がもう18歳だったからかそれをOKした。
そして次にお母さんがあたしにも聞いてきた。
「莉子・・・・あなたはどうする?」
あたしは少し黙った後答えた。
「あ・・・あたしは・・・こっちに残りたいの!」
家族全員がすごく驚いた顔した。そして沈黙が少しの間続いた。
まあ、それは当たり前だ。あたしは極度のお母さんっ子で仕事で東京にいるときも暇さえあれば電話をしてるくらいだった。
でもこの沈黙を最初に破ったのはお父さんだった。
「わかった。莉子がそうしたいならそうすればいい・・・・柚斗、お前めんどう見てやってくれ。お手伝いの人も雇うから」