絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
香月は笑顔で電話を保留にする。
宮下が少し勘違いをするかもしれない。
だがそれでも今は、吉川の生体を少しでも知っていたかった。
午後11時。それぞれの車で着いた中華料理店はいつか、坂野咲医師と偶然会った店であった。入ってから、そのことを思い出す。
「で、何?」
席についてメニューを広げるなり、宮下は質問を開始した。
「いえ、相談とかそういうのではないんですけど、あの……吉川店長ってどんな人なのかなあと思って」
「吉川店長?……そうだなあ。うーん、何かで困ってるのか?」
「え、いやー、別にそういうわけでは」
「うーん……まあ、先注文するか……」
とりあえず2人は餡かけチャーハンセットを注文する。
「お店の雰囲気はだいぶ変わりましたよ、もうフリーが大変で毎日残業です」
「俺がいた頃は仕事は分けるって方針だったから。けど、そうやって全部フリー任せにするというのも間違いではないと思うよ、その方が効率がいいことが多い。だからフリーを増やすのが一番いい対策だ」
「うーん……」
「残業ってどのくらい?」
「一時間くらい」
「毎日は多いな……」
「フリーで一人頼りない子がいるんです、その子と2人だと大変なんです」
「なるほどなあ……、玉越もいなくなった今、色々大変だろう。時計もとった方がいいんじゃないか?」
「それ、吉川店長にも言われましたよ。さっそく金曜研修です」
「頑張れ。時計取ると幅が広がる」
「うーん……」
「嫌か?(笑)」
「うーん……」
返答に困っていると、丁度注文の品が運ばれてきて助かる。
「うーん……嫌じゃないけどぉ……自信ないなあ……試験になると大変だし」
「分からないことあったら何でも聞いてくれればいいよ」
「それ皆が言ってくれるけど、全然、プレッシャーにしかならないんですけど」
「そうか?(笑)」
「……時計なんか全然知らないし」
「ちょっとやってたじゃないか」
「あれはその場凌ぎですよ!そんな基礎知識とか全然ないし……」
「今から覚えれば十分だよ。強いと思う、時計覚えた香月は。どこにでもいけるよ」
宮下が少し勘違いをするかもしれない。
だがそれでも今は、吉川の生体を少しでも知っていたかった。
午後11時。それぞれの車で着いた中華料理店はいつか、坂野咲医師と偶然会った店であった。入ってから、そのことを思い出す。
「で、何?」
席についてメニューを広げるなり、宮下は質問を開始した。
「いえ、相談とかそういうのではないんですけど、あの……吉川店長ってどんな人なのかなあと思って」
「吉川店長?……そうだなあ。うーん、何かで困ってるのか?」
「え、いやー、別にそういうわけでは」
「うーん……まあ、先注文するか……」
とりあえず2人は餡かけチャーハンセットを注文する。
「お店の雰囲気はだいぶ変わりましたよ、もうフリーが大変で毎日残業です」
「俺がいた頃は仕事は分けるって方針だったから。けど、そうやって全部フリー任せにするというのも間違いではないと思うよ、その方が効率がいいことが多い。だからフリーを増やすのが一番いい対策だ」
「うーん……」
「残業ってどのくらい?」
「一時間くらい」
「毎日は多いな……」
「フリーで一人頼りない子がいるんです、その子と2人だと大変なんです」
「なるほどなあ……、玉越もいなくなった今、色々大変だろう。時計もとった方がいいんじゃないか?」
「それ、吉川店長にも言われましたよ。さっそく金曜研修です」
「頑張れ。時計取ると幅が広がる」
「うーん……」
「嫌か?(笑)」
「うーん……」
返答に困っていると、丁度注文の品が運ばれてきて助かる。
「うーん……嫌じゃないけどぉ……自信ないなあ……試験になると大変だし」
「分からないことあったら何でも聞いてくれればいいよ」
「それ皆が言ってくれるけど、全然、プレッシャーにしかならないんですけど」
「そうか?(笑)」
「……時計なんか全然知らないし」
「ちょっとやってたじゃないか」
「あれはその場凌ぎですよ!そんな基礎知識とか全然ないし……」
「今から覚えれば十分だよ。強いと思う、時計覚えた香月は。どこにでもいけるよ」