絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「……どこにも行きたくないです」
「新店とか行きたくないか?」
「全然……元々小さいお店から来たので、大きくなればなるほど怖いんです」
「何が?」
「人が」
「うーん……なるほどなあ……」
餡かけチャーハンが意外に美味しいことに宮下は感動したことの意を述べ、香月はそれに対して笑い、最後まで食べ、真剣に喋った。
香月にとって重要な、仕事のことばかり。途中、玉越の話題にもあえて少し触れてみたが、宮下はただ相槌を打ち、次の話題へと摩り替えた。
彼女が長くないことを示しているのだとなんとなく感じた。
そこで最後に、ようやく本題を出す。
「あの、フリーの中島さんが不倫してるって話、本当ですか?」
遠まわしにここから出す。
「ああ、らしいな」
「えー! 本当なんだ……。なんかフリーの中で一番頼れるけど……そうなんだ……」
「まあ、仕事とプライベートは違うからな」
「えーでもぉ……」
「まあ、確かに信用されなくなるのは仕方ない。それだけのことをしてるんだからな」
「噂じゃないんですね……」
「離婚協議中だ」
「そうなんだ……悲惨」
「だなあ……」
「吉川店長はどうですか?」
全然関係ないことを言っているように思われないように話をくっつけていく。
「不倫?」
「なんか、聞いたことありません?」
「してるみたいだな、全然噂になってないからうまくやってるんだろうけど」
「え―――――――――――本当なんだ……びっくりしました、今」
「え、どういうこと?」
「えー……いやあ……なんか……」
「誘われたんだろ」
一時停止。
「図星だな」
宮下は軽く笑い、水を口にする。
「いや、あの、そういうことを平気で言う人だと思うんですよ、あ、そう。
宮下店長と付き合ってるんだろって聞かれました」
「新店とか行きたくないか?」
「全然……元々小さいお店から来たので、大きくなればなるほど怖いんです」
「何が?」
「人が」
「うーん……なるほどなあ……」
餡かけチャーハンが意外に美味しいことに宮下は感動したことの意を述べ、香月はそれに対して笑い、最後まで食べ、真剣に喋った。
香月にとって重要な、仕事のことばかり。途中、玉越の話題にもあえて少し触れてみたが、宮下はただ相槌を打ち、次の話題へと摩り替えた。
彼女が長くないことを示しているのだとなんとなく感じた。
そこで最後に、ようやく本題を出す。
「あの、フリーの中島さんが不倫してるって話、本当ですか?」
遠まわしにここから出す。
「ああ、らしいな」
「えー! 本当なんだ……。なんかフリーの中で一番頼れるけど……そうなんだ……」
「まあ、仕事とプライベートは違うからな」
「えーでもぉ……」
「まあ、確かに信用されなくなるのは仕方ない。それだけのことをしてるんだからな」
「噂じゃないんですね……」
「離婚協議中だ」
「そうなんだ……悲惨」
「だなあ……」
「吉川店長はどうですか?」
全然関係ないことを言っているように思われないように話をくっつけていく。
「不倫?」
「なんか、聞いたことありません?」
「してるみたいだな、全然噂になってないからうまくやってるんだろうけど」
「え―――――――――――本当なんだ……びっくりしました、今」
「え、どういうこと?」
「えー……いやあ……なんか……」
「誘われたんだろ」
一時停止。
「図星だな」
宮下は軽く笑い、水を口にする。
「いや、あの、そういうことを平気で言う人だと思うんですよ、あ、そう。
宮下店長と付き合ってるんだろって聞かれました」