絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「えー……うーん……あぁいうブランドで固められると肩こるなあ。……うん、そう」
 我ながら、うまく表現できたと関心する。
「お金が有り余ってるだけですよ、普段ブランドだからどうって話してるのは聞いたことないですよ」
「うーん、ヴーん……」
「ね?」
「いやあ、やっぱ……いいや。今回は」
「え―!! こんなに思わせぶっといて、酷い!」
「そんなことないよ(笑)、でも食事は楽しかったよ、いい人ってことも分かったし」
「じゃあ……お友達から、ですか?」
「うーん、お友達からという名の2人でドライブでもどうですか? ってことなら行かないけど」
「じゃあ、みんなで」
「そう期待されると困るなあ……」
「もう一回食事に行きましょうか」
「……うーん」
「それで、今度の食事までに保留の人をなんとかする」
「うーん……なんでそんなに松さんとくっっけたいの?」
「お似合いだからですよ」
 適当なことを言って、責任逃れをしたいだけだなとすぐに分かる。だが、あんな大人2人にどうしてもと言いくるめられた佐伯のことを考えると、協力してげたい気持ちは山々だが。
「そうだなあ……、じゃあ、まあ、しばらくして、気が向いたらってことで」
「あいまいー」
「だってえ……なんかそう言われると気が乗らないんだなあ」
「嘘嘘、じゃあ、日にちはまた後日決めましょう。今は一応行く気はあるってことで」
「……うん、それでいいよ、負けた! そう言うことだけは許す。ただ、日にちはいつになるかは分からないけど」
「先輩も忙しいですしね。さってと」
 佐伯は腕時計を確認する。顔に似合わずシャネルの高価でお洒落な腕時計をしているが、若すぎる故に似合っていない。
「そういえば高羽さん元気?」
「最近暇そうですよ、家で結構ごろごろしてる」
「大変だよねえ、あんな仕事。お金になるのかな」
「まあ、適当に食べれるくらいはもらえるみたいですね」
「ふーん……。じゃあ、そろそろ帰ろうかな」
 時刻は午後5時半。
「そうですね。あーあ、帰ってゲームでもしよ」
「ゲームって肩凝らない?」
「凝る、凝る」
「凝るのにするんだ」
「それとこれとは別なんです」
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