絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
後ろを振り返った。
「……!!」
 右手で左腕を押さえていて、その先からは大量の血が流れている。
 尋常な血の色ではない。赤黒い見たこともないような色の血が、下へ下へと滴り落ちている。
「……あ……」
 何の処置もできない自分だが、その腕を縛ることくらいできるのにと戻ろうとするが、銃声が鳴りやんでいるわけではなく、その場で立ち止まってしまう。
「行け!」
 誰か助けてあげて!……いや、自分が助けるべき?
 そんな下らない迷いの中、誰かに背後から口をふさがれたかと思うと、首を腕で絞められ、一瞬で意識を失った。
 最後に見たのは彼の腕から流れる恐ろしい血の色、だけ……。
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