絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「え……」
驚きと同時に、胸を高鳴らせる。そう、実はこの一言が聞きたいがために来たのだ。
多分相手もわかっていたのだろう。
「……」
彼は立ち上がり、ゆっくりと室内を歩き始める。
「返しに行く手助けをしてやってもいい。日本に帰れる、保証、ということだ」
「何をすればいいんですか?」
言った後で気づく。まさか、今ここで、このベッドを使う?
「何も」
「え……? どうして?」
「ただそういう気になっただけだ」
「え……」
彼が何を考えているのか、必死で考える。
「お前はただ、奴と連絡をとり、中国まで車を返しに行くといえばいい」
「ふ、フェリー?」
「そうだな」
「……できるかな……」
「まさか日本に取りに行くとは言わんだろう。そのまま捨てておいてくれとも」
「……どうしよう……」
「返さないのか?」
「……怖い、言えるかな。ちゃんと」
震える声を制すために、深呼吸をしながら考える。
彼に電話をかける……また? しかも自ら……。どうしよう……やっぱり危険なことに、なってしまうのだろうか。
「何が怖い?」
「前のとき、すごく怖かった。だから返したいと思うけど……、その返すことが、また危険な気がして……」
「無事ではすまん気がしたから、ここに来たんだろう?」
「……」
「何を言い出すかと思ったら……」
彼はまたゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。香月は真っ直ぐ見る勇気がなくて、顔を伏せた。
「安心していい。いざというときは助けてやる」
「……どうして?」
「ここまで来たからには、それくらいの答えが欲しかったんだろう?」
「けど、なんか、私もなんかしなくちゃいけないのかな……とか」
「何を?」
驚きと同時に、胸を高鳴らせる。そう、実はこの一言が聞きたいがために来たのだ。
多分相手もわかっていたのだろう。
「……」
彼は立ち上がり、ゆっくりと室内を歩き始める。
「返しに行く手助けをしてやってもいい。日本に帰れる、保証、ということだ」
「何をすればいいんですか?」
言った後で気づく。まさか、今ここで、このベッドを使う?
「何も」
「え……? どうして?」
「ただそういう気になっただけだ」
「え……」
彼が何を考えているのか、必死で考える。
「お前はただ、奴と連絡をとり、中国まで車を返しに行くといえばいい」
「ふ、フェリー?」
「そうだな」
「……できるかな……」
「まさか日本に取りに行くとは言わんだろう。そのまま捨てておいてくれとも」
「……どうしよう……」
「返さないのか?」
「……怖い、言えるかな。ちゃんと」
震える声を制すために、深呼吸をしながら考える。
彼に電話をかける……また? しかも自ら……。どうしよう……やっぱり危険なことに、なってしまうのだろうか。
「何が怖い?」
「前のとき、すごく怖かった。だから返したいと思うけど……、その返すことが、また危険な気がして……」
「無事ではすまん気がしたから、ここに来たんだろう?」
「……」
「何を言い出すかと思ったら……」
彼はまたゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。香月は真っ直ぐ見る勇気がなくて、顔を伏せた。
「安心していい。いざというときは助けてやる」
「……どうして?」
「ここまで来たからには、それくらいの答えが欲しかったんだろう?」
「けど、なんか、私もなんかしなくちゃいけないのかな……とか」
「何を?」