絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
『そうですか……、何かに悩んでおられたのかもしれませんね』
「あの、そうなんです。彼女はあなたのことが好きでした。私、それを思うとすごく、心苦しいんです。あなたにこんなに立派な車を頂いて……」
おきながら、あなたのことが好きじゃないなんて?
『だから車を返したいと?』
「え、はい……。あの、突然で、しかも……」
『……そうですか。あなたは友達思いなのですね』
「え……まあ、あの、幼馴染なんです。彼女のおかげであなたと知り合えたのに、だけど、私……。
自殺する前……あの、薬を飲んで自殺しようとしたんですけど、その前、久しぶりに誘われて、食事をしました。そのときに、この車が乗りたくて、免許をとったんだと、新しい車を見せてくれました。それが、あなたが下さった車と同じだったんです。
だから……その……」
『分かりました。車を取りに行かせましょう』
「えっ、本当ですか!」
巽は一度もこちらを見ない。
『私の心づけがあなたを余計に心配させてしまいましたね……、すみません』
「えっ、いえいえ、そんな……私もあの車を頂いてからは本当に助かっていました。うん……です」
『では、また後日日にちは連絡しましょう』
「あ、はい、本当に、すみませんでした……あの……」
『あなたが謝ることはありません。そういう時もあります。
阿佐子さん……今はお元気なのですか?』
「え、あ……私も実は……会いに行ってはないんです。私には多分いい顔をしないだろうからって、言われていて」
『そうですか……では、私からの連絡も控えさせて頂きますね』
「え、ああ、そうですね……その方がいいかもしれません」
『そういえば、仕事はいいのですか? いつでも時間がとれますか?』
「え、はい。大丈夫です。努力します。それくらいのこと……」
『あなたは仕事を一生懸命していることが、とても印象的で、素敵です』
リュウの、にっこり微笑んでいる絵が浮かぶ。
「え、あ……そうですか?」
は仕事を一生懸命している、に対する答えである。
『はい。ではまた、こちらから連絡をしましょう』
「あっ、はいっ。本当に、すみませんでした。お話を聞いてもらえて……嬉しかったです」
正直に述べよう。
『私はあなたとお話ができたことが、嬉しかったですよ』
「あの、そうなんです。彼女はあなたのことが好きでした。私、それを思うとすごく、心苦しいんです。あなたにこんなに立派な車を頂いて……」
おきながら、あなたのことが好きじゃないなんて?
『だから車を返したいと?』
「え、はい……。あの、突然で、しかも……」
『……そうですか。あなたは友達思いなのですね』
「え……まあ、あの、幼馴染なんです。彼女のおかげであなたと知り合えたのに、だけど、私……。
自殺する前……あの、薬を飲んで自殺しようとしたんですけど、その前、久しぶりに誘われて、食事をしました。そのときに、この車が乗りたくて、免許をとったんだと、新しい車を見せてくれました。それが、あなたが下さった車と同じだったんです。
だから……その……」
『分かりました。車を取りに行かせましょう』
「えっ、本当ですか!」
巽は一度もこちらを見ない。
『私の心づけがあなたを余計に心配させてしまいましたね……、すみません』
「えっ、いえいえ、そんな……私もあの車を頂いてからは本当に助かっていました。うん……です」
『では、また後日日にちは連絡しましょう』
「あ、はい、本当に、すみませんでした……あの……」
『あなたが謝ることはありません。そういう時もあります。
阿佐子さん……今はお元気なのですか?』
「え、あ……私も実は……会いに行ってはないんです。私には多分いい顔をしないだろうからって、言われていて」
『そうですか……では、私からの連絡も控えさせて頂きますね』
「え、ああ、そうですね……その方がいいかもしれません」
『そういえば、仕事はいいのですか? いつでも時間がとれますか?』
「え、はい。大丈夫です。努力します。それくらいのこと……」
『あなたは仕事を一生懸命していることが、とても印象的で、素敵です』
リュウの、にっこり微笑んでいる絵が浮かぶ。
「え、あ……そうですか?」
は仕事を一生懸命している、に対する答えである。
『はい。ではまた、こちらから連絡をしましょう』
「あっ、はいっ。本当に、すみませんでした。お話を聞いてもらえて……嬉しかったです」
正直に述べよう。
『私はあなたとお話ができたことが、嬉しかったですよ』