絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「え! そうなの?」
「うん、見つかったときは息してなかったらしいから。今の様子見ってのも比較的楽観視した言い方じゃないのかな」
「え……嘘……」
「お前は誰に聞いて来たんだよ」
「私は……榊……先生から」
「え、まだ続いてたのか!?」
「ううん、違う。………あのね、1週間前、阿佐子が睡眠薬飲んだの知ってる?」
「ああ聞いた。その時本人から電話がかかってきてほんと吃驚したよ。病院まで行ったらわりと元気そうだったから良かったけど」
「何か言ってた?」
「失恋って感じのことかな。好きで忘れられないけど、自分の方に振り向いてくれないって感じの」
「相手のこととか言ってた?」
「いや、知ってる奴のことなら名前出すだろうから、多分知らない奴のことなんだろうと思って。あの高校教師かどうかだけはとりあえず確かめたら、笑ったから。まあ、それじゃないんならいっか、と思って」
「なるほど……」
「で?」
「で……その睡眠薬飲んだ前の日、突然阿佐子から電話がかかってきたと思ったら、ランチしようって、自宅で。で、行ったら榊先生がいて、3人で一日遊んだの。映画行って、買い物して。普通だったのよ、その時、だけど次の日になって、いや、うん。その日は深夜まで遊んだんだけど、その朝睡眠薬飲んだの。で、その夕方、榊先生から電話がかかってきて、阿佐子が病院に来てるって」
「そうだったのか……」
「うん」
早くもぬるくなったココアを一口飲む。
夕貴は既に熱いコーヒーを半分以上飲んでいた。
「ねえ、本当に危ないの?」
祈るように尋ねる。
「あいつは何か言ってた?」
榊は夕貴のことを名前で呼ばない。
「えっと、私も慌てて……とりあえずここに来ることしか考えてなかったからそんな、何も……」
「まあ、あいつ担当じゃないからな。知らないのかもしれないし」
「うん……」
「俺はもう今日は泊まるつもりで来たよ。とりあえず」
「え、そうなの?」
後先考えずにとりあえず来た香月は、今晩の予定を聞かされて大いに驚く。
「何日もは無理だけど、最初の一日くらいはついてたっていいだろうと思って。で、奥さんとケンカしてさ。虫の居所が悪いまま来た」
「うん、見つかったときは息してなかったらしいから。今の様子見ってのも比較的楽観視した言い方じゃないのかな」
「え……嘘……」
「お前は誰に聞いて来たんだよ」
「私は……榊……先生から」
「え、まだ続いてたのか!?」
「ううん、違う。………あのね、1週間前、阿佐子が睡眠薬飲んだの知ってる?」
「ああ聞いた。その時本人から電話がかかってきてほんと吃驚したよ。病院まで行ったらわりと元気そうだったから良かったけど」
「何か言ってた?」
「失恋って感じのことかな。好きで忘れられないけど、自分の方に振り向いてくれないって感じの」
「相手のこととか言ってた?」
「いや、知ってる奴のことなら名前出すだろうから、多分知らない奴のことなんだろうと思って。あの高校教師かどうかだけはとりあえず確かめたら、笑ったから。まあ、それじゃないんならいっか、と思って」
「なるほど……」
「で?」
「で……その睡眠薬飲んだ前の日、突然阿佐子から電話がかかってきたと思ったら、ランチしようって、自宅で。で、行ったら榊先生がいて、3人で一日遊んだの。映画行って、買い物して。普通だったのよ、その時、だけど次の日になって、いや、うん。その日は深夜まで遊んだんだけど、その朝睡眠薬飲んだの。で、その夕方、榊先生から電話がかかってきて、阿佐子が病院に来てるって」
「そうだったのか……」
「うん」
早くもぬるくなったココアを一口飲む。
夕貴は既に熱いコーヒーを半分以上飲んでいた。
「ねえ、本当に危ないの?」
祈るように尋ねる。
「あいつは何か言ってた?」
榊は夕貴のことを名前で呼ばない。
「えっと、私も慌てて……とりあえずここに来ることしか考えてなかったからそんな、何も……」
「まあ、あいつ担当じゃないからな。知らないのかもしれないし」
「うん……」
「俺はもう今日は泊まるつもりで来たよ。とりあえず」
「え、そうなの?」
後先考えずにとりあえず来た香月は、今晩の予定を聞かされて大いに驚く。
「何日もは無理だけど、最初の一日くらいはついてたっていいだろうと思って。で、奥さんとケンカしてさ。虫の居所が悪いまま来た」