絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「うんそう。最初はだから……榊のことが忘れられないからだめ……って感じだったんだけど、忘れさせてあげるからって。今日もそう、そういえば私もケンカして出てきた。榊から電話があって、あの人まだ日本にいるのかって聞かれて。キスしてくるから、やめてよって」
「キス拒否してまであいつの元に来てるなんて、相当ショックだよ」
「違うの。阿佐子が事故ってときにそうやってきたのが悪いのよ!」
「半々だろ」
「……」
夕貴に言われて初めて心の奥の自分に問いかけてみる。
「忘れるには、どうすればいい?」
自問のつもりで、答えは出ないはずだったが、夕貴はしっかりと手順を説明し始めた。
「会わないことだ。携帯番号知ってるなら変えればいいし。偶然会うことも、そうそうないだろ」
そんなこと、想像するのも苦しいが、夕貴の手前、「……そうだね」と納得するしかない。
「その彼氏にちゃんと忘れさせてもらえば?」
「最初はそのつもりだったんだけどね……なんかもう、今日の朝、電話がかかってきた時点で全てを忘れてた」
「お前もだらしなくなるぞ、そのうち。ケリつけないと」
痛い言葉が、胸を突く。
「……そうだね」
「ああ……」
「こういうとき、死にたいって思うのかなあ……」
言葉に詰まって、ただ宙を仰いだ。
「(笑)、違うよ」
夕貴も伸びをして、ソファに背をもたれなおす。
「……あのね」
「うん?」
「阿佐子がああなったの、私のせいなの」
夕貴の視線を痛いほど感じる。
「え?」
「本当は理由知ってるの。私と、多分榊しか知らない」
「え?……どんな理由?」
夕貴の驚きの表情は、見なくてもインプットされている。
「何ヶ月か前、そう、阿佐子から電話がかかってきて、阿佐子の友人と一緒に食事に行こうって誘われて、行った。そしたら、中国人のものすごく綺麗な男の人がいて……」
「え、あれ? 一時好きだったってゆうあの……」
話しが通じることに、ほっとした。
「あそっか、知ってるんだね。うん、その時も好きだったって言ってた」
「あの、カナダの時の奴だろ?」
「うんそう、確か。で、その人と3人で食事したの」
「まだ続いてたのかよ……俺はやめとけって言ったんだ。いつだったか……一年くらい前に聞いたら連絡とってないっていうから……信じ込んでた」
夕貴の睨みつけるような目つきが、阿佐子を今まで救っていたのだと知ると、突然悲しくなる。
「で?」
「キス拒否してまであいつの元に来てるなんて、相当ショックだよ」
「違うの。阿佐子が事故ってときにそうやってきたのが悪いのよ!」
「半々だろ」
「……」
夕貴に言われて初めて心の奥の自分に問いかけてみる。
「忘れるには、どうすればいい?」
自問のつもりで、答えは出ないはずだったが、夕貴はしっかりと手順を説明し始めた。
「会わないことだ。携帯番号知ってるなら変えればいいし。偶然会うことも、そうそうないだろ」
そんなこと、想像するのも苦しいが、夕貴の手前、「……そうだね」と納得するしかない。
「その彼氏にちゃんと忘れさせてもらえば?」
「最初はそのつもりだったんだけどね……なんかもう、今日の朝、電話がかかってきた時点で全てを忘れてた」
「お前もだらしなくなるぞ、そのうち。ケリつけないと」
痛い言葉が、胸を突く。
「……そうだね」
「ああ……」
「こういうとき、死にたいって思うのかなあ……」
言葉に詰まって、ただ宙を仰いだ。
「(笑)、違うよ」
夕貴も伸びをして、ソファに背をもたれなおす。
「……あのね」
「うん?」
「阿佐子がああなったの、私のせいなの」
夕貴の視線を痛いほど感じる。
「え?」
「本当は理由知ってるの。私と、多分榊しか知らない」
「え?……どんな理由?」
夕貴の驚きの表情は、見なくてもインプットされている。
「何ヶ月か前、そう、阿佐子から電話がかかってきて、阿佐子の友人と一緒に食事に行こうって誘われて、行った。そしたら、中国人のものすごく綺麗な男の人がいて……」
「え、あれ? 一時好きだったってゆうあの……」
話しが通じることに、ほっとした。
「あそっか、知ってるんだね。うん、その時も好きだったって言ってた」
「あの、カナダの時の奴だろ?」
「うんそう、確か。で、その人と3人で食事したの」
「まだ続いてたのかよ……俺はやめとけって言ったんだ。いつだったか……一年くらい前に聞いたら連絡とってないっていうから……信じ込んでた」
夕貴の睨みつけるような目つきが、阿佐子を今まで救っていたのだと知ると、突然悲しくなる。
「で?」