絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「いえそんな、あの、違います」
聞きたくなくても少しだけ声が聞こえてしまった。
「あ、そうだそうだ。いいタイミング。あの、この前の総会の時の、あの時、僕の同僚が写真撮ってましてね、それをお渡ししようと思ってたんですよ」
「写真……」
「まあ、素人が撮ったからそんな綺麗じゃないんですけど、良かったら」
「はい、いただきます」
「それじゃあ、どうしましょう。宮下に渡しておきましょうか?」
「あ、彼がいいって言ってくださるのなら……」
「そりゃあもう嫌とは言いませんよ。じゃあまた渡しておきますね」
「はい、すみません。ありがとうございます」
「そんでまた3人で飲みに行きましょう」
「あ、そうですね。全然行けてない(笑)。すみません、ありがとうございます」
一通りの会話を済ませて、香月はすぐ席につく。
「今のは」
こちらから聞くつもりはなかったが、香月は自分から話し始めた。
「宮下店長の同級生の方です。桜美院でお医者さんをなさってる方です」
「……宮下店長に詳しいのな……」
メニューを見ながら軽く言った。
「え、そんなことないですよ。えーと、何で知り合ったんだっかな……」
そこで香月は何か思い出すと、動きを止めた。
「香月さん、じゃあまた」
後ろで声がすると、彼女はさっと笑顔を作り、流す。
「えーと、そんなことないですよ。宮下店長の家には皆で遊びにいったこともあるんですよ」
「皆って?」
「えーと、西野さんとか吉原さんもいました。あとは佐伯さんと、永作さんと、私……」
「何しに(笑)」
「宮下店長が風邪で寝込んでたからお見舞いに行って、ご飯作ってあげたんです」
「香月が?」
「いえ、吉原さんが。すごく上手でしたよ。あとの皆はゲームしたり(笑)」
「へえー……なんかそんな感じには見えなかったから……」
「吉原さん?」
「いや、宮下店長がそんな、店の子を呼んだりなんて想像つかない」
「ああ、それは呼んだというか勝手に皆で上がりこんだんですよ。なんとなく行こうかって話しになって、今から行きますって電話したらいいよって」
「優しい(笑)」
「まだ熱でだるいって寝てましたけどね(笑)。だけど、ご飯作ってあげてよかったかなとは思います」
聞きたくなくても少しだけ声が聞こえてしまった。
「あ、そうだそうだ。いいタイミング。あの、この前の総会の時の、あの時、僕の同僚が写真撮ってましてね、それをお渡ししようと思ってたんですよ」
「写真……」
「まあ、素人が撮ったからそんな綺麗じゃないんですけど、良かったら」
「はい、いただきます」
「それじゃあ、どうしましょう。宮下に渡しておきましょうか?」
「あ、彼がいいって言ってくださるのなら……」
「そりゃあもう嫌とは言いませんよ。じゃあまた渡しておきますね」
「はい、すみません。ありがとうございます」
「そんでまた3人で飲みに行きましょう」
「あ、そうですね。全然行けてない(笑)。すみません、ありがとうございます」
一通りの会話を済ませて、香月はすぐ席につく。
「今のは」
こちらから聞くつもりはなかったが、香月は自分から話し始めた。
「宮下店長の同級生の方です。桜美院でお医者さんをなさってる方です」
「……宮下店長に詳しいのな……」
メニューを見ながら軽く言った。
「え、そんなことないですよ。えーと、何で知り合ったんだっかな……」
そこで香月は何か思い出すと、動きを止めた。
「香月さん、じゃあまた」
後ろで声がすると、彼女はさっと笑顔を作り、流す。
「えーと、そんなことないですよ。宮下店長の家には皆で遊びにいったこともあるんですよ」
「皆って?」
「えーと、西野さんとか吉原さんもいました。あとは佐伯さんと、永作さんと、私……」
「何しに(笑)」
「宮下店長が風邪で寝込んでたからお見舞いに行って、ご飯作ってあげたんです」
「香月が?」
「いえ、吉原さんが。すごく上手でしたよ。あとの皆はゲームしたり(笑)」
「へえー……なんかそんな感じには見えなかったから……」
「吉原さん?」
「いや、宮下店長がそんな、店の子を呼んだりなんて想像つかない」
「ああ、それは呼んだというか勝手に皆で上がりこんだんですよ。なんとなく行こうかって話しになって、今から行きますって電話したらいいよって」
「優しい(笑)」
「まだ熱でだるいって寝てましたけどね(笑)。だけど、ご飯作ってあげてよかったかなとは思います」