絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
傷心と言って冷やかしたつもりだったが、香月はそれに反応しなかった。
もし、これで本当に彼のことが好きなら、素直な女である。そうか、好きだという自覚がまだないか……。
「香月、家まで送ろうか?」
支払いながら言うと、彼女は慌てて
「あ、私がお支払いします!」
「いいよいいよ、そんなつもりなかったから」
「す……すみません、ありがとうございます」
「じゃあ家まで送るよ」
「いえ、そんなもう、自分で帰れます」
「そうか?」
「はい、タクシーがそこにいっぱいいるから帰れます」
店から少し離れた場所にはタクシーが2台ほど停車していた。
「じゃあまた明日な」
「はい」
香月はにこりと笑った。
その時、タクシー乗り場まで着いていってやるとか、もう何もしなかった。電灯がたくさんあって明るかったし、人も何人かいたし。
だけどもし、香月が見合婚にそこまで反応しなかったら、「大丈夫、送るよ」と、素直に言えたような気はする。
もし、これで本当に彼のことが好きなら、素直な女である。そうか、好きだという自覚がまだないか……。
「香月、家まで送ろうか?」
支払いながら言うと、彼女は慌てて
「あ、私がお支払いします!」
「いいよいいよ、そんなつもりなかったから」
「す……すみません、ありがとうございます」
「じゃあ家まで送るよ」
「いえ、そんなもう、自分で帰れます」
「そうか?」
「はい、タクシーがそこにいっぱいいるから帰れます」
店から少し離れた場所にはタクシーが2台ほど停車していた。
「じゃあまた明日な」
「はい」
香月はにこりと笑った。
その時、タクシー乗り場まで着いていってやるとか、もう何もしなかった。電灯がたくさんあって明るかったし、人も何人かいたし。
だけどもし、香月が見合婚にそこまで反応しなかったら、「大丈夫、送るよ」と、素直に言えたような気はする。