絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
香月の歯切れもさすがに悪い。今しがた誤解されたばかりでまだその疑いを晴らしてないのに、更なる誤解をかぶろうとしていることになる。
「昨日メール見た? 送ったんだけど」
しかも寺山は何も気づいていないのか、何も考えていないのか、周りのことを何も見ていない。
「え、あ、ごめんなさい。夜ちょっと返しそびれたの……朝も今日ちょっと急いでたから……」
香月は極力熱い視線をカバーしながら答える。が、その熱い視線は右からも前からもサンサンと降り注がれていて、非常に苦痛である。
「俺、香月さんと真剣に付き合いたいんだけど、どうかな?」
あの、すみません皆さんもちろん聞いてますよね?
香月は目を見開いて、俯いた。
「嫌?」
「え、あ、嫌というわけでは……」
少し傾げていた首が、段々直角になってくる。
「じゃあいい?」
「いや……ちょっと、突然で……」
「考える時間がいる?」
「あ、そうですね、その方がいいかも」
「俺のこと、嫌い?」
彼の視線は熱い。溶けそうなくらいに熱くて恥ずかしいので、終始俯いたままなのだが、それが逆にまるで好意を持っているように取られないか心配で困る。
「あ、いえ、嫌いというわけでは……」
「あぁ良かった。じゃあまた今度返事聞かせてね」
「え、あ、は……」
彼はさっと席から立ち去ったが、その後処理を思うと心底嫌だった。
「やるなあ、あいつ」
一番に口を開いたのは一番遠くにいた矢伊豆である。
「もてもてなんですよ、香はいつも」
玉越も何が嬉しいのか楽しそうだ。
「で、どうする?」
一番真剣に話を聞いてくれそうなのは、やはり西野である。
「どうするもなにも……、私……」
「どうせそのつもりは全然ないんだろ?」
「……」
一同の視線をばっちり浴びながら
「うん」
と、素直に首を縦に振る。
「へー、香月、他に好きな人がいるの?」
矢伊豆も全く遠慮のない男である。
「昨日メール見た? 送ったんだけど」
しかも寺山は何も気づいていないのか、何も考えていないのか、周りのことを何も見ていない。
「え、あ、ごめんなさい。夜ちょっと返しそびれたの……朝も今日ちょっと急いでたから……」
香月は極力熱い視線をカバーしながら答える。が、その熱い視線は右からも前からもサンサンと降り注がれていて、非常に苦痛である。
「俺、香月さんと真剣に付き合いたいんだけど、どうかな?」
あの、すみません皆さんもちろん聞いてますよね?
香月は目を見開いて、俯いた。
「嫌?」
「え、あ、嫌というわけでは……」
少し傾げていた首が、段々直角になってくる。
「じゃあいい?」
「いや……ちょっと、突然で……」
「考える時間がいる?」
「あ、そうですね、その方がいいかも」
「俺のこと、嫌い?」
彼の視線は熱い。溶けそうなくらいに熱くて恥ずかしいので、終始俯いたままなのだが、それが逆にまるで好意を持っているように取られないか心配で困る。
「あ、いえ、嫌いというわけでは……」
「あぁ良かった。じゃあまた今度返事聞かせてね」
「え、あ、は……」
彼はさっと席から立ち去ったが、その後処理を思うと心底嫌だった。
「やるなあ、あいつ」
一番に口を開いたのは一番遠くにいた矢伊豆である。
「もてもてなんですよ、香はいつも」
玉越も何が嬉しいのか楽しそうだ。
「で、どうする?」
一番真剣に話を聞いてくれそうなのは、やはり西野である。
「どうするもなにも……、私……」
「どうせそのつもりは全然ないんだろ?」
「……」
一同の視線をばっちり浴びながら
「うん」
と、素直に首を縦に振る。
「へー、香月、他に好きな人がいるの?」
矢伊豆も全く遠慮のない男である。