絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅱ
「へー、それでエリートかぁ。将来社長?」
「いやあ、私は全然そんなこと分からないですけどねー」
「今晩とりあえず来るって」
「え、今日!? え、真藤さんがもう来るの!?」
「なんかとりあえず挨拶来るって。けど一番ええと思わん?」
「まあそうだけど……。うわー、……掃除しなきゃ……」
「……汚いっちゃ、汚いかあ」
ユーリは辺りを見回したが、香月的には一番ユーリのジャージ&無精髭が酷い気がした。
「あれだよね、レイジさんがいるとなんか上下関係で全てが収まるけどさ(笑)。2人だと永遠にだれたままだよね」
そして予告通り当日夕刻。真籐司は当然私服で現れたが、その格好もまた、センスがよく、どこも引けをとらないことが更に香月の中に印象づけられた。しかも丁寧に挨拶し、
「これ、良かったら。伊勢丹の地下にある限定スイ-ツです。今人気でよく雑誌にも載ってるんですよ」
と、手土産まで出して見せたのだった。
「うわあ、ありがとうございます。すみません、気を遣わせてしまって……」
「いえいえ」
家庭訪問のような愛想笑いの雰囲気の中で三者面談は始まった。場所はもちろんリビングのソファ。
「いい所ですね、僕が今住んでいる東都マンションに比べるとセキュリティがしっかりしています」
「え、あそうなんですか?」
「はい。ロビーに24時間人がいるマンションで、3人50万は安いですよ」
「はあ、なるほど……」
香月は特に気にしたことがなかったが、確かにたかがマンションで24時間年中無休というのはすばらしいエネルギーの無駄遣いだ。
とりあえず限定スイーツとユーリが淹れたコーヒーを並べて、対談準備完了。
「あの、それでなんですけどね」
髭を剃て衣装替えしたユーリの切り出しは早い。苦手な人物だと踏んだのだろう。
「はい」
「あの、ここで住むというのはもう完全に決めてはるんですか?」
「そのつもりで来ました。僕はユーリさんのことはレイジさんを通じてや、テレビや雑誌で知っているし、香月さんもよく知っていますので」
「……」
2人は返す言葉もなく、黙った。
「えっと、3人で住むという話ではなかったんですか?」
真籐が心配そうに聞いたので、香月は慌てて否定した。
「いえっ、そうです。合ってます、合ってます!」
ユーリを見た。大丈夫、彼も頷いている。
「それで、少し気になったのですが」
真籐はコーヒーを一口飲んでから聞いた。大人のブラックは苦そうだが、実に様になっている。
「はい」
「お2人は恋人同士ですか?」
真籐はユーリを真っ直ぐ見ていたが、香月が素早く反応した。
「いえいや、そんなもんじゃまったくないんです!」
「もんじゃって(笑)」
ユーリは呑気に笑う。
「いえもう恋人とか全く、そんなの関係ありません!」
「いやあ、私は全然そんなこと分からないですけどねー」
「今晩とりあえず来るって」
「え、今日!? え、真藤さんがもう来るの!?」
「なんかとりあえず挨拶来るって。けど一番ええと思わん?」
「まあそうだけど……。うわー、……掃除しなきゃ……」
「……汚いっちゃ、汚いかあ」
ユーリは辺りを見回したが、香月的には一番ユーリのジャージ&無精髭が酷い気がした。
「あれだよね、レイジさんがいるとなんか上下関係で全てが収まるけどさ(笑)。2人だと永遠にだれたままだよね」
そして予告通り当日夕刻。真籐司は当然私服で現れたが、その格好もまた、センスがよく、どこも引けをとらないことが更に香月の中に印象づけられた。しかも丁寧に挨拶し、
「これ、良かったら。伊勢丹の地下にある限定スイ-ツです。今人気でよく雑誌にも載ってるんですよ」
と、手土産まで出して見せたのだった。
「うわあ、ありがとうございます。すみません、気を遣わせてしまって……」
「いえいえ」
家庭訪問のような愛想笑いの雰囲気の中で三者面談は始まった。場所はもちろんリビングのソファ。
「いい所ですね、僕が今住んでいる東都マンションに比べるとセキュリティがしっかりしています」
「え、あそうなんですか?」
「はい。ロビーに24時間人がいるマンションで、3人50万は安いですよ」
「はあ、なるほど……」
香月は特に気にしたことがなかったが、確かにたかがマンションで24時間年中無休というのはすばらしいエネルギーの無駄遣いだ。
とりあえず限定スイーツとユーリが淹れたコーヒーを並べて、対談準備完了。
「あの、それでなんですけどね」
髭を剃て衣装替えしたユーリの切り出しは早い。苦手な人物だと踏んだのだろう。
「はい」
「あの、ここで住むというのはもう完全に決めてはるんですか?」
「そのつもりで来ました。僕はユーリさんのことはレイジさんを通じてや、テレビや雑誌で知っているし、香月さんもよく知っていますので」
「……」
2人は返す言葉もなく、黙った。
「えっと、3人で住むという話ではなかったんですか?」
真籐が心配そうに聞いたので、香月は慌てて否定した。
「いえっ、そうです。合ってます、合ってます!」
ユーリを見た。大丈夫、彼も頷いている。
「それで、少し気になったのですが」
真籐はコーヒーを一口飲んでから聞いた。大人のブラックは苦そうだが、実に様になっている。
「はい」
「お2人は恋人同士ですか?」
真籐はユーリを真っ直ぐ見ていたが、香月が素早く反応した。
「いえいや、そんなもんじゃまったくないんです!」
「もんじゃって(笑)」
ユーリは呑気に笑う。
「いえもう恋人とか全く、そんなの関係ありません!」