君が過ぎた季節
春、桜


それは、桜舞う入学式のこと。



「私と、付き合って下さい!」

「…ごめん」



呼び出され、来てみればいきなり告白。


相手は去年のクラスメイトだった。


とは言っても、名前が分からない。


今にも泣き出しそうな彼女にちょっと困りつついつもの笑顔でカバー。



「好いてくれるのは嬉しいんだけど、」

「わっ!」



クラスメイトへの言葉は後ろの方で聞こえた声に遮られた。


不思議に思って振り向くと、慌てて起き上がろうとする人影。


俺の視線に気がついたらしい人影は、顔をあげて此方を見た。



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