君が過ぎた季節
どうやら新入生らしい。見たことのない女子生徒だった。
二重の大きな瞳を泳がせながら何か言おうとパクパクしている。
「あ、」
「…?」
女子生徒の視線をたどると走り去るクラスメイト。
結局何も言えなかった。が、その方が良かったのかもしれない。下手に声をかけると逆に傷つける可能性もある。
「…ねえ」
「は、はい!?」
声をかけると大袈裟なほどに肩を揺らした。
ビクビクしながら此方を見る彼女に思わず吹き出す。
「え、え!?何で笑うんですか!?」
「くくっ…だってビクビクしすぎ…っ、」
「そ、それは…告白の場面、見ちゃったから…。」