君が過ぎた季節
「えっ、本当ですか!?」
「ここで放っておいたら君、クラス辿り着けないでしょ」
「うっ…」
何も言い返せないと言うように言葉をつまらせる彼女を一瞥して歩き出した。
「ほら、行くよ」
「あ、はい!って歩くの早いです!!」
必死についてくる彼女を見ていると、まるで犬を相手にしているような気持ちになる。
なんかこう、癒される感じで。
と、そこでふと気が付いた。
「君、名前何て言うの?」
「っえ?」
「名前だよ、君の」
少しゆっくりと言うと、彼女はこちらに顔を向け口を開いた。
「四季ひより、です」
「四季?…変わった名字だね」
「よく言われます」