夢の途中


惠瑠はお妙を心配しながらもしっかりと芹沢を見上げて、ふと思い出す。





芹沢鴨といえば横暴で、女癖の悪い男。周りからはそんな印象しか受けないことも多々ある人物だ。しかし剣の腕前は強く、憧れを持ち付いていく者もいる。―――確かそんなことを何かの本で読んだ。





そして、己の志を貫き通す集団、新撰組の局長だ。惠瑠は興奮して止まない。そんな集団のトップが目の前にいる事が信じられないのだ。






「新撰組…」






いるんだ、いるんだよ


そんな男が








私はまだ‘己’と言うものを見つけていない。これからどんな道を歩むのか、ただ剣道の師範代で終わってしまうのかまだ分からない。



しかし惠瑠は思う。この志高き男たちの中に入れば何か見つかるのではないかと。








「ねえ、芹沢さん。」




「あ?」





見つかるさ、絶対


こんな人間らしい人間がいる処なんだから。










「私を連れてってよ、新撰組に」








私を導いてよ



その熱い志で







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