夢の途中
空気が一気に張りつめたのがわかるくらい静かだった。しばらく誰も口を開けなかった。
何を言い出すかと思ったら惠瑠が躊躇いなく試合をしようなんて言い出すものだから黙るしかないだろう。
しかし、惠瑠は本気だ。これでしかきっと認めてくれないだろうと思ったからだ。さっきからの近藤たちの様子からして多分頭を縦には振らない。
それだったら実際に見てもらうしかないのだ。
「…君は本気なのかい?」
黙っていた近藤が惠瑠をしっかり見つめて静かに言葉を放つ。
惠瑠も見つめ直して、頭を縦に振る。惠瑠は昔から頑固で、一回自分が言い出したことは最後までやり抜かなければ気が済まないのだ。
「うん、そうだなあ相手は―――」
確か新撰組で剣の腕がたつと言えば、天才剣士と呼ばれた沖田総司。もしくは、永倉新八あたりだろう。
まあ、そうなれば…。
「沖田総司、そいつでいいよ」