夢の途中
むさ苦しい道場に着けば、既に大勢の隊員たちがこそこそと話ながら突っ立っていた。
それに珍しく近藤も土方も居り、土方に至ってはすこぶる機嫌が悪い様子だ。2人は床に座りながらじっとしている。
「あ!原田先生、永倉先生お疲れ様です!」
1人の隊員が原田と永倉に気づき会釈した。それにつられて近くにいた隊員も「お疲れ様です!」と頭を下げた。
「お疲れさん」
「お疲れ」
「原田先生達も聞きつけてやって来たんですか?」
「まあな。で、どこだよその入隊希望してきた大物くんは」
「あ、あれみたいなんですけど…」
隊員が指差す方を見れば…
「え、女…?」
「マジかよ…」
どう見てもまだガキに見える女子(おなご)が竹刀を軽く振って慣らしていた。
原田と永倉は口をポカーンと開けて、信じられないとでも言うような顔をしながら見つめていた。
ただでさえ、この時期に入隊希望なんかする可笑しな奴もいるのだなと思っていれば、まさかそれが女子だったなんて驚く他なかった。