夢の途中
どうみても、どの角度からみても女子。
背はどちらかと言えば低く、体も華奢そうだ。力があるようには思えない。そんな体で入隊希望だなんて、たいした奴だ。そう思わざるをえない原田と永倉。
「ってもよー、誰が相手すんだ?」
永倉は原田を見ながら腕を組んだ。
「んなもん知るかよ。…ま、やるとしたら新人辺りだろ」
原田は槍使いだが、剣もなかなか使えるし、永倉に至ってはかなりの腕前だ。それはないだろう、と原田は心の中で思った。
――いや、まさかアイツは
「原田さん…、永倉さんもいらっしゃったんですか?」
声がするほうへ体を向けば若い青年が道着を着て、竹刀を片手に持ち颯爽と現れた。
――まさかな
「総司…、まさかと思うがあの女子の相手ってお前?」
原田はそれはないと思いながらも聞いてみる。しかし現に、1人だけ道着を着ている。
「ああ、はい。なんかご指名されたみたいで」
ははっ、と軽く笑いながら頭を掻いた。
――嘘だろ