夢の途中
康介はヒーッと笑いながら目尻にたまった涙を指ですくいあげる。未だになぜ笑われるのかわからない惠瑠は終始康介を睨み続けていた。
「惠瑠さぁ、この前の日本史のテスト何点だったか言ってみろよ」
クククっと口を吊り上げながら康介が惠瑠に聞く。
この前の日本史…?
はあ?と言う表情で康介を見る
思い出せ、と付け加えられ仕方なく考える。
日本史、あー…えーと
あ、確か
「2点だった」
そうだ、2点だ。
唯一、日本史が苦手な私がとった最低点数。はっきり言って歴史にはまったく興味がない。だって過去を振り返られても困る。未来に向かって進んでるのに、今さらって感じだ。だから2点とれれば十分……、
……ん?
そういえばいっちーは日本史担当だ。2点は私からすれば十分だが他から見れば驚異の数字…
「あ、そっか。だからいっちー、泣いてんのか」
「……おせーよ足立」
市原は、ポンと手のひらに拳を叩く惠瑠を見て、呆れたのかなんなのかよく分からないが教卓の上にだらんと項垂れた
「ごめんごめん、いやあ忘れてた」
「あのなあ…」
「いっちー無駄だ、やめとけ。惠瑠に何言っても勝ち目はねーよ」
「ひどいな康ちゃん、ちょっとばかし忘れてただけじゃん。…っていうか、康ちゃん何で補習に居んの?」
今思えばこれは日本史の補習。秀才の康ちゃんがここにいるはずがない。それもまあ上機嫌に
「何言ってんだよ惠瑠。今回の補習内容はあの新撰組だぞ!来なくてどーすんだよ!」
「はあ」
康介はニカーっと白い歯をだしてにこやかに笑った。新撰組の何が良いんだかよくわからない惠瑠は苦笑しながら康介を見つめた。