夢の途中
「ゴホ、ゴホっ!!」
――倒れたのは沖田だった。
惠瑠の技をまともに受け、蹲ってしまい苦しそうな表情をした。
そんな光景を目の当たりにした周りの隊員たちは息を飲み、いまだ状況を把握できていない。
沖田はもう一回ゴホっと咳をして、体を起こした。
「見えたのに体が動かなかった…」
「いや、あなたは絶対今のは受けれてたはず。多分、どこか油断してたからだよ」
やれやれ、と言うような仕草をし、惠瑠は沖田を見下げた。
「…確かに僕は油断をしていたと思います。しかしその技は…、まるで神速だ…」
それになかなか見ない構えで沖田も初めてだった。それもそのはず、この技はじっちゃんから受け継いだ秘伝もので惠瑠しか知らないし、惠瑠自信もなかなか使わない技だった。
「いやあ、でもあなたやっぱり強いよ。最初の受けで左手首やられたし、まいったまいった」
と惠瑠は、かはははっと1人笑ってその場に座り沖田と向き合う形になった。
「…あなたを女にしとくのはもったいない」
「ありがとう。ま、女でも別になんでもいいんだけどね」
「本当に面白い人ですね」
クスクスと沖田は笑い、惠瑠は一瞬キョトンとしたがつられて一緒に笑っていた。