夢の途中
永倉と原田が加わり4人で他愛ない話をして色々教えてもらいながら、とりあえずどんな時代なのかは理解した。それよりも…だ。
――さて、どうしたものか。
ある程度切りの良いところで話を終わらせてさっきからこちらの方を見ている近藤に視線を合わせた。それに気づいた近藤は困ったように笑いながら、ゆっくりと立ち上がり惠瑠の方へと歩みを進めた。
横に座る土方は動かなかったが、視線だけはこちらに向けていた。まだ納得がいかないというよりは、先ほどの惠瑠の試合に驚いて困惑してる状態のようだ。
「まさか君がこんなに強いとは思ってなかったよ」
「どうも」
「私も腹をくくるよ。君の入隊を認めよう」
「…本当、ですか?」
惠瑠は目を見開き近藤を見れば、優しい瞳を向けてくれていた。胸がなんだか熱くなり、ふつふつと何かが込み上げてきた。
――すると急に何かから解放されたように惠瑠の目から一粒の涙が頬をつたった。
「っ、」
きっと強がっていたけど、正直不安だったのだ。
拭っても拭っても溢れてくる涙を止めることができず俯いていると、何も言わず近藤は惠瑠の頭の上に手を置いて撫でた。
近藤は惠瑠の心中を理解し、あえて何も言わなかった。
「っ、…あ、ありがとうございます」
少しだけ不安がなくなった。
彼の心の広さは果てしない。
この人のもとならば必ず見つかると、自分の未来を切り開けると強く思えた。