夢の途中

最寄り駅に着き、いつもの改札口を通ってホームへ降りた。しかしあまり人がいなくて、ガランとしていた。



きっと、みんな暑くて外に出たくないんだろうなあ、こんなに暑いと熱中症で倒れそうだし。惠瑠も本当は家でクーラーや扇風機にあたりたかったのだが、今日は補習だったからそれは無理だった。





「っていうか、電車まだかなあ。」





急いでいるのに、なかなか電車が来なくて突っ立っていた時、ふと携帯のバイブが鳴っていることに気がついた。惠瑠はかなりの機械音痴でメールを使うことがない。だいたいバイブが鳴るのは電話の時くらいだ。よく康ちゃんには、アナログな奴だな、と笑われていた。




ポケットから携帯をだし、ディスプレイを見る。







「げ」






思わず顔をしかめた。画面には、「足立健三郎」という文字が表示されていたからだ。怒られるのかなあ。嫌だなあ、と思いつつも通話ボタンを押す。








「…もしも『お前は今どこにおるんだあァァ!!』








キーンッと鳴って耳から携帯を離した。じっちゃん、声デカい…。思った通り怒られたっていうか怒鳴られてしまった。





「いやあさぁ…」




『つべこべ言わず、さっさと帰ってこいッッ!!!』






ぶちっ、と一方的に話して切られてしまった。






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