2年3組乙女事情
「舞花!」
ボランティア体験が終わって学校に向かう途中、芽依が後ろから声をかけてきた。
にっこり笑った芽依が、振り向いたあたしに近づいてくる。
少しスペースを開けて後ろには、他の3人が何かを話しながら歩いてる。
「今日の舞花、いつになく頑張ってたね」
「そう?」
「そうだよ!舞花って、何でも器用にこなすでしょ?誰にでも愛想良くできるし、ピアノだって普通に上手だし、……。
私はピアノしかできないから、舞花のそーゆーとこ、実はいつも羨ましかったの。何でもできて、堂々としてて、格好良いなって」
にこにこ話す芽依を見て、あたしは思わず目を見開いた。
まさか、芽依がそんな風に思ってたなんて……。
「でも、そーゆーのって疲れちゃわないのかなって、少し心配だったのも本当。……まぁ、そんな心配必要なかったのかもしれないけどねっ!
やっぱり、舞花は今日も格好良かったもん!」
「そんなことないでしょ」
「そんなことあるの! 中村さんと仲直りできて、良かったね」
「うん」
小さく頷くと、芽依がきらきらした笑顔をくれた。
……あたしは、やっぱりあんたが羨ましいわよ、芽依――――