2年3組乙女事情
「1450円になります」
「はい」
これ、やっぱり使いにくいかもしれない……。
ボクは、買ったばかりのお財布の狭い小銭入れに手を入れながら、顔をしかめた。
少し赤みがかった茶色の合皮に、アンティークっぽい金色の蝶々の飾り。
それが可愛くて、思わず買っちゃったんだけど……
いつものボクの雰囲気と違うって、くるみに爆笑されたんだよね。
やっとの思いで探し当てた50円玉を店員さんに渡してから、ボクはカゴを持ち上げた。
空いてるスペースを探して、おばさん達と一緒に、買ったものをエコバックに詰める。
お母さんの帰りが遅いウチでは、夕飯の買い物を頼まれることは割とよくあることだった。
無題に目立つリア女の制服に集まる視線が痛くて、初めの頃は少し恥ずかしかったけど……
慣れた今なら、もう何とも思わない。
ピンクのチェックのスカートは可愛い。
でも、ボクにはやっぱり、不釣り合いな気がする。
……あ、新しいお財布にはぴったりだ。
ぼーっとそんなことを考えながら、ボクは空になったカゴを持ち上げた。
指定されてる場所に、かしゃっとそれを放り込む。
「あ……卵忘れた」