2年3組乙女事情
「就活だよ。まだ8月だから本格的には始まってないけど、少しセミナーがあって」
「へぇ……大変そうだね」
「うん。まぁ、実際に忙しくなってからじゃないと、どのくらい大変なのかもよくわかんないんだけどさ」
そう言って苦笑いをしながら、こーちゃんは持っていたカップ麺をカゴに入れた。
高校生のボクには、就活の話はよくわからない。
でも何となくだけど、こーちゃんの表情からはその大変さが伝わってくる気がした。
「ゆいは今日も学校?夏休みじゃないの?」
「夏休みだよ。でも、希望者が出る、サマースクールっていう特別講座みたいなのがあったから、1日学校にいた」
「そうなんだ。さすがリア女だよな。そういうのにはうるさそう」
「確かに。そうかもしれない」
眉間にしわを寄せるボクを見て、こーちゃんは小さく笑った。
そんなこーちゃんの笑顔を明るく見せるみたいに、後ろで白い……
「あ! 卵……!」
「ん?」
「あ……ボ、わ、わたし、卵買い忘れて戻って来たから……」