2年3組乙女事情
慌ててそう言ったボクに驚いたのか、他に思うことがあったのか……
こーちゃんは、少し目を見開いてから、「あぁ」と小さく呟いた。
「そうだったんだ。俺もついでに買おうかな。ゆい、この卵で良い?」
小さく何回も頷くボクを見て、こーちゃんが、ボクの手に卵のパックを乗せる。
その後、同じ種類のパックがこーちゃんのカゴにも入った。
野菜にカップ麺に卵にペットボトル。
こーちゃんのカゴの中身は、決して健康とも言えないけど、不健康とも言いにくい。
「こーちゃんって、今一人暮らしなの?」
「あぁ。ゆい達の後に俺の家族も団地は出たよ。高校までは実家にいたけど、大学通うには少し遠かったし、親に『1回くらいは一人暮らししてみろ』なんて言われてさ」
「そうなんだ。大変じゃない?」
「大変なこともあるよ。家事もあるし。でもまぁ、飲む時とか遊びに聞く時とか、何時になっても家族に迷惑かけなくて済むのは楽で良いと思ってるけど」
そこまで言うと、こーちゃんはボクをぱっと見た。
「ゆい、他に買う物ある?なかったらレジ行こうか?」
少し首を傾げながら、優しく聞いてくれるこーちゃんも、昔と変わらない。
「大丈夫だよ。行く」
そんなことを思いながら自然に頬が緩む感覚を、ボクは何だか心地よく感じた。