2年3組乙女事情
「えぇ!そんなイケメン幼馴染がいるなら、くるみ達に教えてくれたって良かったのに!」
こーちゃんに会った次の日。
サマースクールのお昼休みにくるみが頬を膨らませて言った。
昨日は栞那も一緒だったけど、今日は用事でお休みらしい。
まぁ、昨日の栞那のそわそわした雰囲気から考えると、絶対に奥間さんがらみだと思うんだけど……。
修学旅行でカップルが増えるなんて話はよく聞くけど、栞那の場合もその1つになるのかな?
まだ付き合ってはいないみたいだけど、その辺りはまた問い詰めなきゃいけない。
「それで? 昨日はスーパーで別れておしまい? 家の場所は聞いた?」
「家?ボクの家の隣の市だってことは聞いたけど、別に何にもないよ」
「そっかぁ……つまんないっ!」
「つまんないって……」
苦笑いをするボクに、くるみは顔を寄せて口を開いた。
「だって、せっかくの夏休みだよ?くるみ達、女子高生なんだよ?栞那ちゃんみたいに、何かないと面白くないもん!」
「ボクも……確かにそうだけど。でも、くるみこそどうなの?」
「くるみはそーゆーのはどうでも良いの!くるみ自身を完璧に磨いてからじゃないと」
「じゃあ、ボクのことも放っておいてくれれば……」
ボクは、遠慮がちにくるみの顔を覗き込んだ。
その瞬間、くるみにキリっと睨まれる。
「ダメ!そもそも、唯真ちゃんは何でいつも“ボク”なの?まぁ、くるみも人のことは言えないけど……」