2年3組乙女事情
「はぁ……」
サマースクールの帰り道。
親から買い物を頼まれてない今日は、学校を出てそのまま家を目指した。
時間はもう17時だけど、夏真っ盛りの今日は、まだお昼みたいに明るい。
冬服と違って少し薄い素材でできたスカートから伝わってくるざらっとした感覚が、汗と一緒になって少しベタついた。
ボクの家は、学校からすごく近い。
歩いて、15分くらい?
駅前の賑やかな通りを抜けて、住宅街に入れば、割とすぐに着く。
電車で帰るくるみを見送って、そのまま歩き出したボクは、もう1度小さく溜息を吐いた。
よっぽど人の恋の話が好きなのか、こーちゃんとボクをくっつけたがるくるみの攻撃は、さっきまでずっと続いていた。
どうして好きにならないの?
格好良いならアタックするべきでしょ?
年上なんて素敵でしょ?
……なんて。
くるみはこーちゃんに会ったことないのに、何であんなにも言葉が出てきたんだろう。
そう思うくらい、くるみはこのことに執着してた。
……まぁ、ただ面白がってるだけだとは思うけど。
やっぱり、高2だと彼氏がいるのも普通なのかな?
その辺りが、リア女にいるせいかもしれないけど、ボクにはよくわからない。
てゆーか、そんなこと言ったら、こーちゃんなんて大学3年生なんだから、彼女がいるに決まってる。
「……って、何でボク、少し凹んだみたいになってるの」