2年3組乙女事情
「そっか、なるほど……」


「いろいろ言う人もいるかもしれないけど、場面考えて使い分けていけば、俺は別に自分のことを何て呼ぼうが個人の自由だと思う。
わざとやってる人を見ると少しイラつく時もあるけど……ゆいの場合は、“ボク”が自然なんだろ?」



柔らかく微笑むこーちゃんに、ボクは静かに頷いた。



「じゃ、帰るか。いつまでも道路で話してるわけにもいかないし。ゆい、家こっち?」


「うん」


「じゃあ、送るよ」



そう言うと、こーちゃんはまっすぐ歩き始めた。



「そういえば、今日はこーちゃん、私服なんだね?」


「あぁ。今日はサークルで少し集まっただけだったから」


「へぇ、何のサークル?」



歩き出したこーちゃんを駆け足で追い掛けて、すっと顔を覗き込む。



「ん?サッカー。練習帰りだから、少し汗臭いかも」


「え?そんなことないよ。それ言ったら、ボクだって汗は……」



思わず顔を引っ込めたボクを見て、こーちゃんが思いっきり笑う。


口に手なんか当てちゃって……ちょっと失礼じゃないかな?



「運動と勉強じゃ出る汗の量が違うだろ。それより、ゆいその制服似合ってるなー」


「そうかな?でもボク、普段は結構カジュアルな感じだよ。たまにパ二エとか……」


「パ二エって何?」


「あ……」


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