2年3組乙女事情
「くるみちゃん、朝ご飯食べなさい」
「いらない。暑くて食欲ないの」
サマースクールもお休みの土曜日。
いつもみたいに朝食を進めてくるお母さんに、いつもみたいに断りの返事をした。
「またそんなこと言って!食事を抜くなんて絶対に体に悪いんだから。ほら、早く座って!」
そんなくるみにお母さんがこう返すのも、いつものこと。
少しでもダイエットになるかなって、いつも抵抗してみるんだけど……
お母さんは、食事を抜くことだけは許してくれない。
それは、朝だけじゃなくて昼も夜も同じこと。
子どもがくるみしかいないこのお家で、専業主婦のお母さんが時間を持て余すようになったのは何年か前。
それから、妙に食事に気を使うようになって……。
食事を抜くことどころか、残すことも許してもらえなくなった。
だって、くるみが「もう食べれない」って言うと、泣き出しそうな顔で見てくるんだもん!
そうするとお父さんだって、残すくるみが悪い、みたいな視線を送ってくるし……。
料理に凝るようになってから、作る量も、盛り付ける量も確実に増えたから、くるみとしては辛い以外の何物でもない。
おいしいご飯が食べられるのは嬉しいし、すごく感謝してるんだけどね。
でも、その頃からだもん。
くるみの体重が増えてきたのも……――――