2年3組乙女事情

「でも、私ジャージ……」


「くるみの家近いから、服貸すよ!」


「お金も……」


「明日もどうせ会うんだし、その時で良いよ。
実涼ちゃんのこと、そこまで信用してなくないし……ちゃんとレシートもとっとくから」



にやりと笑うと、実涼ちゃんはそんなくるみを見て大きく笑った。



「怖いよ、くるみちゃん……。信用してくれてありがとう」


「じゃあ、行く?やる気がなくならないうちに!」


「そうだね!」



何だか面白くなってお互いに笑い合ってから、コンビニを出た。


その瞬間に、またじんわりと汗が浮き出す。



「あ、そういえば、コンビニに入ったのに何も買わなかったね。私達……」


「確かに……迷惑だったよね。でも、この後お洒落なジャージ買わなきゃだから、コンビニなんかで無駄な出費してらんないよ!」



くるみは、実涼ちゃんの顔を覗き込んで、笑いながら言った。


そのまま実涼ちゃんの手を取って歩くスピードを上げる。



だって、早く歩いた方がカロリーって消費できるんだよね?



「よーっし!今日はたっくさん歩いて、可愛いジャージ買って、明日から気合入れてジョギングだよ!」


「わかったよ!くるみちゃん、テンション高すぎっ」



少し焦る実涼ちゃんの高い声が、真夏の住宅街にすっと響いた。

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