2年3組乙女事情
「亜希帆ちゃん! 帰ろー!」



ちょとぼーっとしすぎちゃったかな。


目の前にどばっと登場した果歩ちゃんを見て、思わず肩が上下に動いた。



「うん! そうだね」



にっこり笑って、進路調査のプリントをサブバックに突っ込む。


あ、折れた……。

ま、いっか!



静かに歩いてきた瑛梨奈ちゃんにも微笑みかけてから、あたし達はそろって教室を出た。








「夏休みどうだったぁ?」


「うーん……普通に楽しかったよ?彰宏ともいっぱい遊んだし」



駅前のファーストフード店に入って、あたし達はそれぞれ飲み物を頼んだ。



ぶすっと刺したストローから、しゅわしゅわした粒が口の中に入って来る。


これ、炭酸強くない?



ときどき無性に飲みたくなるから頼んだメロンソーダ。


だけど、ちょっと失敗だったかもしれない。



「夏休みの話なんて、わざわざ聞かなくても会った時に何回も話してたじゃない」



あたしは、目の前の瑛梨奈ちゃんに視線を送った。



注文したアイスコーヒーを軽く口に運んだ瑛梨奈ちゃんは、発言に似て何だか大人っぽい。



しかも、コーヒー黒いままだし!


大人すぎるよ……。



「それもそうだよね!あ、そういえば、進路面談っていつだっけ?」
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