2年3組乙女事情
ちょっと面倒臭くなったあたしは、まだ何か言いたそうなお兄ちゃんを部屋から追い出した。
ドアをしっかり閉めて、可愛いシャーペンと何も書いてないルーズリーフを机に準備する。
リア女の良いところ。
その1、スカートが可愛い。
その2、果歩ちゃんと瑛梨奈ちゃんがいる。
リア女の良くないところ。
その1、テストが多いところ。
その2、イケメンに出会えないところ。
ついでに、進路指導が結構本気なところ。
繰り返される二者面談と三者面談は、面倒だし、つまんないし、おばさんはうるさいし、……
進路指導に良いことなんて何もない。
もしも中3のあたしがそれに気付いてたら、スカートの可愛さでリア女を選んだりしなかったよ。
……たぶん。
でも、それだけたくさん進路指導の機会があるってことは、それだけ進路について考えるのが大事だってことなんだよね?
それに、これはきっとおばさん担任達の作戦なんだよ。
お兄ちゃんが言うみたいに、この時期にこうやって、こんなにも頭を悩ませれば
マイペースなあたしだって、自分の進路に真正面から向き合おうって努力するから。
とりあえず、お兄ちゃんに相談しちゃうくらいには。
こうやって真正面から向き合うクセを付けておけば、本当に考えなきゃダメな瞬間が来た時にもちゃんと考えられるはずだから。
何か、こうやって考えると、ちょっと気持ちがラクになる気がする。
……そればっかじゃダメだってことは、十分わかってるつもりなんだけどね。