2年3組乙女事情
12番 日比谷祐貴
「ねぇ、何で人は感動するんだと思う?」


「は?」



進路調査の提出も終わった、9月の半ば。


まだまだ暑い、中庭のベンチ。



お昼ご飯を食べている時に、隣に座るありすがいきなり口を開いた。



「どうしたの? いきなり……」


「いきなりじゃないんだよねぇ、それが」



少し考え込むように芝生を見つめながら、ありすが言う。



口にいちごみるくのストローを加えるこの子が、可愛くて仕方がない。



あたしは、リア女の2年3組で、12番の日比谷祐貴[ひびやゆき]。


隣にいるのは、同じクラスで昔からの友達の雨宮ありす。



今までは、学校では知らない子のフリをしてたけど

最近よく委員長と一緒にいるありすを見てたら、何かもやもやして……



こうやって、人気のないところにありすが1人でいる時は、学校でも話し掛けるようになった。



……もしかしてあたし、ヤキモチだった?



今だに、みんながいる前で話せないあたしの臆病さには、自分でも呆れるくらいだけど。



それでも何も言わないで、普通にあたしに答えてくれるありすが

あたしはやっぱり好きだ。
< 150 / 278 >

この作品をシェア

pagetop