2年3組乙女事情
「だからこそね、わかんないの。何で自分が泣いてるのかって」


「うん」


「それでさ、思ったの。もしかしたらあたし、感動してるんじゃないかなって」


「うん」



あたしは、牛乳をずずっと吸い込んだ。



「感動したって言う人はさ、みんな泣いてるでしょ?」


「そうだね」


「だから、何で人が感動するのかがわかれば、あたしが涙もろくなった理由も解明されると思ったの」


「なるほどね」



ありすの言いたいことが、わからなくもなかった。



病気ネタやドキュメンタリーで声をそろえて

「感動しました!」

って言う人達と比べたら、よっぽど人間性がある。


……と、思わなくもない。



「それで、何で人は感動するんだと思う?」



ありすが再びそう言った時、校舎から昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。
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